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塗装ができない素材とは?~瓦編~

塗装の知識スタッフブログ 2024.04.16 (Tue) 更新

 

福島県伊達市、福島市の皆さまこんにちは!
福島県伊達市の屋根・外壁塗装専門店 パンドル
渡邊です

 

今回のブログは、前回に引き続き塗装ができない素材とは?
というテーマで書いてみたいと思います。

前回金属素材についてご紹介しました。

今回は、瓦(かわら)編です。

瓦の種類をご紹介しながら、
メンテナンスの方法についてご説明したいと思います。

 

瓦にはさまざまな種類があり、
ぱっと見たときには同じように見えるものもあります。

「うちの瓦は何ていう種類なのかな?」
「どんなメンテナンスが必要なのかな?」

と疑問に思われている方の参考になれば嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

形状別に見る瓦の種類

日本の住宅に使われている代表的な屋根材の「瓦(かわら)」。

その瓦には、さまざまな種類があるのをご存じですか?

 

まずは形からご紹介していきたいと思います。

 

瓦の形にもいくつか種類があるんですね。

主にJ型・S型・F型・M型に分けられます。

 

さて、それぞれどんな形をしているのでしょうか。

ひとつずつ解説していきます。

 

 

 

 

1⃣ J型

まずは、J型の瓦からご紹介します。

こちらは、皆さまが「瓦」と聞いて真っ先に思い浮かべる形ではないでしょうか。

 

 

 

小口を見ると形状が分かりやすいのですが、
J型はゆるやかな波型をしていますね。

 

 

こちらのJ型は、古くから日本にある瓦の形状です。

J型の「J」は「Japanese」の頭文字からきていると
いわれています。

この形は、雨が降った時の水切れがよいのが特徴です。

 

 

 

 

 

 

2⃣ S型

つづいては、S型の瓦。

こちらはどうでしょうか、皆さまどこかで見かけたことがあるでしょうか?

 

 

 

小口を見ると、ゆるいS字カーブを描いた形状になっています。

ゆるいカーブの隣に半円状のカーブがつながったような形なので、
このS型の瓦で屋根を葺くと、立体的な印象の屋根になります。

 

 

 

こちらのS型は、もともとはスペインなど南欧で用いられてきた形状の瓦です。

S型の「S」は「Spanish」の頭文字をとったものといわれています。

日本でも、洋風の住宅に用いられることが多いです。

 

 

 

 

 

 

 

3⃣ F型

つづいては、F型の瓦。

こちらは最近増えている印象ですが、皆さまのご近所ではいかがでしょうか?

 

 

 

瓦と聞いて思い浮かべるカーブの形ではなく、平らな形をしています。

F型の「F」は、この平たいフラットな形の「Flat」の頭文字からとったという説のほかに
もうひとつの説があります。

それは、もともとフランスなどのヨーロッパで使われてきた形状の瓦であり、
日本に「French」という商品名で入ってきたため、その頭文字をとったという説です。

 

 

 

ヨーロッパ由来の形状ではありますが、日本においては和風の住宅とも相性が良く、
施工性もよいので最近よく見かけるようになっています。

 

 

 

 

 

 

4⃣ M型

つづいては、M型です。

こちら、私はまだ多くは見かけたことがありませんが、
皆さまはいかがですか?

 

 

 

小口を見てみると、半円状のカーブが2つ並んだような形状をしています。

この形から「ふた山瓦」とも呼ばれます。

 

 

 

こちらのM型の瓦は、S型と同じく洋風の住宅で使われることが多いです。

名前の由来はM字型をしているから。

実はこのM字型は、踏まれても割れにくい形状なので、
割れにくい分、軽量化することができるという特徴があります。

 

一般的な粘土瓦の重さと比べると約20%軽くなっていて、
建物への負担が少なくなります。

瓦の屋根にしたいけれど、なるべく軽量化したい・・・
という方は、このM字型の瓦を選ばれるのもおすすめです。

 

 

 

以上が、日本の住宅で使われている瓦の形の主なものです。

本当にさまざまな形があり、それぞれ雰囲気がありますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

瓦の原料にもさまざまなものが

ここまで、瓦の形状の違いをご紹介してきました。

ここからは、原料や製造方法の違いから見た
瓦の種類についてご紹介したいと思います。

 

瓦といっても、原料はひとつではないんですね。

 

大きく粘土系・セメント系・スレート系の3種類に分けて、
それぞれご紹介したいと思います。

 

 

 

 

原料別に見る瓦の種類 ①粘土系

まずは、粘土系の瓦から。

名前の通り、粘土を原料に作られている瓦です。

 

 

 

粘土を練って形をつくり、乾燥させ、その後焼き上げるという方法で作られます。

 

 

 

 

★粘土瓦の三大産地★

粘土を原料とした瓦は日本全国で生産されていますが、
有名なのは良質な粘土の産地で作られる次の3つです。

 

★三州瓦(さんしゅうがわら)

愛知県西三河地方で製造されている瓦です。

こちらの三州瓦は全国で最も生産量が多く、年間の瓦の総生産量の約6割を占めています。

焼き物も盛んな地域で、三州瓦のメーカーも約100社ほどあるとか。

先ほどご紹介したS型やF型といった新しい形の瓦を生産する技術力もあり、
ハウスメーカーが使用する瓦は三州瓦であることが多いそうです。

 

 

石州瓦(せきしゅうがわら)

島根県石見地方で製造されている瓦です。

こちらの石州瓦は、赤や黒を中心に作られています。

赤瓦はきれいな赤褐色をしているのが特徴です。

一方、黒いものは鉄砂色と呼ばれる真っ黒な色をした瓦です。

石州瓦は、三州瓦よりも高い約1200度の高温で焼くため、
水を吸い込みにくく、冷害の起こりやすい寒冷地や塩害の多い沿岸地域でも
人気の高い瓦となっています。

 

 

★淡路瓦(あわじがわら)

兵庫県淡路島で製造されている瓦です。

こちらの淡路瓦は、この後説明するいぶし瓦の産地です。

原料となる淡路土は「なめ土」と呼ばれ、
焼きあがった瓦がきめ細かな仕上りとなるのが特徴です。

 

 

 

 

粘土瓦の種類

粘土瓦は、日本で古くから使われてきた、日本の風土に適した瓦です。

寿命は50年~100年と長持ち。

 

そして、この粘土瓦は、さらにいくつかの種類に分けられます。

 

主なものとして以下の3つがあります。

⑴釉薬瓦

⑵無釉瓦

⑶いぶし瓦

 

このあと、それぞれの特徴やメンテナンスの方法について
ひとつずつご紹介していきたいと思います。

 

 

 

 

 

①-⑴ 釉薬瓦(ゆうやくがわら)

まずは、釉薬瓦(ゆうやくがわら)から。

釉薬瓦は、原料の粘土を練って形を作った後、釉薬(ゆうやく・うわぐすり)をかけて、
瓦の表面にガラス質の膜を作り焼き上げたものです。

 

 

表面がツルツルとしていて、陶器の茶碗や湯のみのような見た目をしており、

「陶器瓦(とうきがわら)」と呼ばれることもあります。

 

釉薬によってさまざまな色を出せるのが特徴です。

 

 

瓦の表面にガラス質の膜があることによって水が浸透せず、
長い年月が経っても美しい状態を保つことができます。

そのため、塗装によるメンテナンスは不要です。

 

 

 

 

 

 

①-⑵ 無釉瓦(むゆうがわら)

つづいては、釉薬瓦(むゆうがわら)です。

先ほどの釉薬瓦と違って、こちらの無釉瓦は、
釉薬(ゆうやく・うわぐすり)を使用せずに焼き上げます。

 

 

粘土を練ってそのまま焼き上げるため、
原料の粘土の色がよく出た優しい印象の瓦です。

素焼きの植木鉢のような見た目をしており、
「素焼き瓦(すやきがわら)」と呼ばれることもあります。

 

沖縄県の住宅などで見かけるのも無釉瓦です。

 

 

この無釉瓦は、釉薬(ゆうやく・うわぐすり)を使用していないので
水を吸いやすいという特徴があります。

そのため、長く水にさらされるとコケが生えやすくなります。

その反面、夏の暑い日などには、
雨が降った後に瓦が吸い込んだ水分が気化することで、
屋根表面の温度を下げる「打ち水」のような効果が得られることもあります。

 

メンテナンスの方法としては、瓦に付着した汚れやコケなどが目立つようになったら、
高圧水で洗浄をすると、元の風合いを取り戻すことができます。

 

塗装をしてしまうとせっかくの風合いがなくなってしまいますので、
定期的に洗浄をして美しさを維持していくことをおすすめします。

 

当店でも、高圧水による洗浄のみの施工も承っております。

お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

①-⑶ いぶし瓦

つづいては、いぶし瓦です。

こちらも無釉瓦(素焼き瓦)と同じく、釉薬(ゆうやく・うわぐすり)を使わずに
焼き上げます。

 

 

そして、焼いた後にもう一つ、薫化(くんか)という工程を経て出来上がります。

薫化とは、瓦を蒸し焼きにすること。

この工程を経ることによって、
瓦の表面が銀色に光る、いぶし瓦特有の風合いに仕上がります。

 

 

経年により色ムラが出てくる場合がありますが、
それもこの瓦の味わいですので、塗装をする必要はありません。

そのままで長くお使いいただける瓦です。

 

 

 

 

 

 

粘土系の瓦のメンテナンス

ここまで、粘土系の瓦の種類を3つご紹介してきました。

釉薬瓦・無釉瓦(素焼き瓦)・いぶし瓦のいずれも、
塗装や塗り替えの必要はありません。

 

割れたり欠けたりしたものが出てきたら、
その箇所の瓦を交換することで雨水の浸入を防ぐことができます。

 

瓦自体のメンテナンスはとても簡単なのですが、

忘れずに定期的にメンテナンスをして頂きたい箇所があります。

 

それは、屋根の頂上部分「棟(むね)」に施された
漆喰(しっくい)のメンテナンスです。

 

 

粘土瓦葺きの屋根には、瓦と棟の間にできた隙間を埋めるために
漆喰を埋め込んであるのですが、これが経年により劣化して、
崩れたり、隙間ができてきます。

こうなると、雨水がその隙間を通って家の中へ浸入してしまうことになります。

漆喰は10~15年に一度程度、定期的にメンテナンスをすることをおすすめします。

 

 

 

 

 

原料別に見る瓦の種類 ②セメント系

続いて、原料別に見る瓦の種類の2つ目は、セメント系の瓦です。

その名の通り、セメントを原料としてつくられている瓦です。

 

セメント系の瓦の製造方法は、原料となるセメントと川砂を混ぜてモルタルを作り、
それを型に入れてプレス成形した後、乾燥させ、塗装をして完成となります。

 

セメント系の瓦には、大きく分けて次の2種類があります。

⑴セメント瓦

⑵モニエル瓦

 

この後、ひとつずつ紹介していきます。

 

 

 

 

 

 

 

②-⑴ セメント瓦

まずは、セメント瓦です。

高度経済成長期の1970年~90年代に多く生産された屋根材です。

従来の粘土瓦よりも安く大量に生産できたため、
住宅が不足していた高度経済成長期に普及しました。

 

見た目が粘土瓦によく似たものもあり、
見分けがつきにくいこともあります。

 

見た目は似ていますが、粘土瓦の寿命が50~100年なのに対し、
セメント瓦の寿命は30~40年となっています。

 

また、セメント瓦は粘土瓦とは違い、塗装をして仕上げています。

そのため、塗膜が劣化してきたら定期的な塗り替えが必要となります。

 

表面の塗装が剥がれてきたら塗り替えのサインです。

定期的な塗り替えをして防水性を維持することをおすすめします。

 

下の写真は当店で塗り替えを行ったセメント瓦です。

瓦の端まで丁寧に刷毛を入れ、下塗りから上塗りまで
しっかりと塗装を行います。

セメント瓦の塗り替えをご検討中の皆さまは
お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

②-⑵ モニエル瓦

続いて、モニエル瓦についてご説明します。

こちらもセメントを原料に作られています。

 

モニエル瓦はヨーロッパ発祥のセメント瓦の一種で、
乾式コンクリート瓦とも呼ばれます。

 

 

瓦の表面に、スラリー層という着色層があるのが特徴です。

スラリー層とは、セメントと無機質の顔料、水を混ぜたペーストで、
これを瓦の表面に吹き付けて色をつけ、防水性を高めています。

このモニエル瓦も、塗装によって防水性を保っているため、
定期的な塗り替えが必要となるのですが、、、

 

このスラリー層が、塗り替えの時にやっかいな存在となります。

 

スラリー層の上には塗料が付きにくいため、
しっかりとスラリー層を瓦からはがして塗装をしなければなりません。

 

スラリー層が残ったまま塗装をしてしまうとどうなるか・・・?

 

せっかく上から塗った塗料が、残っていたスラリー層とともにはがれ落ちてしまうのです。

 

そうならないために、しっかりと高圧水で洗浄を行い、
それでもスラリー層が残っている部分は、手作業でスラリー層を取り除きます。

 

その上で、塗装の段階に入ることになります。

この作業をしっかり行うことが、モニエル瓦の塗り替えでとても大切になります。

 

つまり、逆に言うと、
モニエル瓦はスラリー層が劣化するまでは塗り替えができないということになります。

 

モニエル瓦の塗装においては、塗り替え時期の見極めが非常に大切です。

 

ご自宅の屋根が、モニエル瓦だというお客さまは、
塗り替え時期にきているかどうかをきちんと判断できる塗装店に依頼されることをおすすめします。

もちろん、当店でもモニエル瓦の塗り替えを承っております。
お気軽にお声掛け頂ければ幸いです。

 

 

 

 

セメント系の瓦のメンテナンス

ここまで、セメント系の瓦の種類をご紹介してきました。

セメント系の瓦は、粘土系の瓦と違って、定期的な塗り替えが必要となります。

モニエル瓦の場合にはスラリー層の処理が必須となりますので、
扱いに慣れた塗装店に施工を依頼することをおすすめします。

 

また、セメント系の瓦の場合、棟(むね)に漆喰ではなく、
モルタルが埋め込まれていることが多いので、
モルタルが崩れたり、隙間が空いている場合には、モルタルの補修も
合わせて行うことをおすすめします。

下の写真は当店で請け負ったモルタルの棟補修の様子です。

こうして補修をした後、屋根の塗装を行いました。

 

 

 

 

 

 

 

原料別に見る瓦の種類 ③スレート系

最後は、スレート系の瓦についてご説明します。

スレート系の瓦は、薄い板状の形をしているのが特徴です。

 

スレート系の瓦には、大きく分けて次の2種類があります。

⑴天然スレート

⑵人工スレート

この2つは、形状は似ていますが、原料が全く異なります。

それでは、ひとつずつご紹介します。

 

 

 

 

 

③-⑴ 天然スレート

まずは、天然スレートです。

こちらは、粘板岩(ねんばんがん)という天然の石を、
層に沿って薄く加工して作られる屋根材です。

 

粘板岩はこのような石です。

 

天然スレートは、天然の石をそのまま屋根材として使用するため、
大変高級な屋根材です。

もともとは、ドイツなどヨーロッパで古くから使われてきました。

歴史ある教会の屋根などに使われているようです。

 

日本では、明治時代に建てられた東京駅丸の内駅舎の屋根に
この天然スレートが用いられていることで有名です。

 

東京駅の駅舎の歴史を見ても、長持ちすることが分かりますね。

300年ほど持つともいわれています。

塗装の必要もない屋根材となっています。

 

 

 

 

 

③-⑵ 人工スレート

続いて、人工スレートです。

こちらは、原料にセメントを使って作られた屋根材です。

 

化粧スレートとも呼ばれます。

カラーベスト、コロニアルと呼ぶ方もいますが、
これは商品名です。

 

製造方法は、セメントを主材料とした原料を板状に高圧プレスして、
表面に塗装を施して完成となります。

 

厚みはおよそ5mmと薄く、軽量で人気の屋根材です。

寿命は20~30年ほど。

 

以前は原料に石綿(アスベスト)を使用していました。

石綿の使用が規制される前の、2004年9月以前に設置された人工スレートには
石綿が含まれている可能性があります。

 

一方、規制後に急遽開発された石綿を含まない人工スレートは耐久性が低く、
割れたりヒビが入ったりして、塗り替えができないものもあります。

 

このように、屋根材自体に問題が発生してしまっている場合には、
塗り替えではなく、屋根の葺き替えや別の屋根材で屋根を覆うカバー工法をおすすめします。

 

 

屋根材自体に損傷がなければ、塗り替えで
メンテナンスをしていくことになります。

 

塗装によって防水性が維持されますので、
定期的に塗り替えをすることが大切です。

 

スレート屋根の塗り替えをご検討中でしたら
ぜひ当店へご相談頂ければ幸いです。

劣化具合の診断をしながら、最適なメンテナンスの方法を
ご提案させていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

スレート系の瓦のメンテナンス

ここまで、スレート系の瓦の種類をご紹介してきました。

 

天然スレートは塗装の必要はなく、長く使える屋根材です。

人工スレートの場合は、まず屋根材自体の劣化・損傷具合を見て、
屋根材が傷んでいる場合には葺き替えかカバー工法の検討、
屋根材の損傷が激しくない場合には定期的な塗り替えで
メンテナンスを行います。

 

それぞれの屋根材に合ったメンテナンスをして、
お家を快適に維持していきましょう。

 

屋根のメンテナンスでお困りのことがありましたら、
お気軽に当店にお問い合わせください。

 

今回は、瓦屋根の種類とメンテナンス方法についてご紹介しました。
読んで頂きありがとうございます。

 

 

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